藤田医科大学は、建学の理念として「独創一理:私たちの創造力を人々のために」を掲げています。脳神経内科も、その志を大切に、

  1. 臨床に根ざしたレジストリ・コンソーシアム型研究
  2. レジストリを活用した分子病態研究
  3. 神経疾患の見える化を目指すネットワーク解析・数理モデル研究

を3本柱として研究を展開し、パーキンソン病、多系統萎縮症、前頭側頭葉変性症 / 筋萎縮性側索硬化症、神経免疫性疾患をはじめとする神経疾患の早期診断方法やバイオマーカーの開発を通じ、臨床レベルの向上ならびに、画期的なリハビリテーション方法の開発や創薬へ貢献するため日々努力しています。

臨床に根ざしたレジストリ・コンソーシアム型研究

大規模レジストリに根ざした、
得意領域融合型、異分野連携型臨床研究を展開しています。

藤田医科大学は、本院、ばんたね病院、七栗記念病院、岡崎医療センターと4つの教育病院を有し、非常に多くの患者さんを診療しています。この多数の患者さんの診療記録、検査データ、治療経過などを登録し(レジストリ)、日常臨床レベルの向上を図りながら、臨床上の疑問の解決を目指す研究を展開しています。また、藤田医科大学の多くの診療科と共同して、コンソーシアム型研究を進めています。2019年度は、1000例を超えるレジストリから、髄液中の可溶性インターロイキン2受容体の上昇する疾患の特徴を明らかにし、600例を超える無菌性髄膜炎におけるヘルペス属real time PCR陽性例の頻度を示し、現在論文作成中です。1000例規模のパーキンソン病における非運動症状の前方向的変化について、全国多施設共同研究として報告しました (Mov Disord Clin Pract 2020)。韓国、愛知医科大学、名古屋大学との共同研究で、高齢発症多系統萎縮症の存在を明らかにしました (Mov Disord 2020)。また、世界的にも高品質な臨床データ、血漿データ、髄液データなどからなるパーキンソン病、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症/前頭側頭葉変性症、視神経脊髄炎患者さんのレジストリを構築し、運用しています。さらに健常者を対象としたイメージング・ゲノム・オミックスコホートを開始しました。

レジストリを活用した分子病態研究

創薬へとつながる、
より上流の病態解明を目指した研究を進めています。

武藤特命教授、植田准教授は、脂質ラフトや中性糖脂質に関する研究を精力的に進め、重要な知見を得ています。藤田医科大学には共同利用研究設備サポートセンターがあり、分子生物学、プロテオミクス、リピドミクス、病理組織、電顕をはじめ、幅広い分野の基礎研究を強力に援助してもらえるため、臨床をしっかり行いながら研究を進めることができます。現在、脳神経内科では、水谷講師が中心となり、今後の基盤とすべく、大規模レジストリデータで構築している血漿や髄液などが、採取直後に測定した場合と、凍結保存後に解凍して測定した場合で、どのような種類の項目が、どの程度再現性高く評価出来るのかを検討し、その上でパーキンソン病の進行に関わる重要分子の探索を行っています。信頼性と再現性の高いデータレジストリの構築が、国内ならびに国際共同研究を展開する上で、極めて重要であると考えています。また村手助教は、血液内科と共同で、リキッドバイオプシーを活用した中枢神経系悪性リンパ腫の早期診断方法開発を目指し、研究を進めています。

ネットワーク解析・数理モデル研究

神経疾患の見える化を目指すネットワーク解析・数理モデル研究を
未来指向型で展開しています。

主任教授の渡辺は、前任地の名古屋大学脳とこころの研究センターにおいて、脳内ネットワーク解析研究を推進してきました。藤田医科大学においても、ハイスペックPCと解析システムを導入し、解析基盤を構築しました。神経変性疾患や加齢の脳内神経回路解析は、脳のハブ領域や、主要神経回路同士の改変などに着目することで、これまで分からなかった、脳の代償機転や発症機転に新しい視点を提供してくれます(EbioMed 2019, SciRep 2019, Cerebellum 2019, Hum Brain Mapp 2020, NeuroImage 2020 in revision)。また、脳の回路もそうですが、神経変性疾患や神経免疫性疾患をはじめとした神経疾患は、ビッグデータ、複雑システム、非線形データという特性を有しており、全身臓器、血管、内分泌系などとの関係も調べる必要があるため、AI、機械学習などの情報理論、さらには複雑系疾病理論などを取り入れる必要があるものの、脳神経内科領域では、これらの視点からの解析は十分には進んでいませんでした。私たちは、名古屋工業大学や名古屋大学などと連携し、認知症を音声のみで診断できるツールやMRIを用いて全脳レベルで判別できるツールの開発をAMEDのグラントで進めています。また、複数の神経疾患で、脳と全身諸臓器との関係の数理モデル構築を推進しています。

研究概要のポンチ絵

脳画像解析に根ざす神経変性疾患の多階層に渡る病態の解明

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先進的画像診断システムの臨床応用推進
低侵襲画像診断・治療センターとの密接な連携

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ふじた神経疾患レジストリ
階層間の解析に資する画像・臨床・血液・髄液・皮脂・エネルギーデータ

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脳のネットワーク解析の豊富な経験と解析基盤構築
脳の多層に渡る冗⻑性と堅牢性が認知症発症を遅らせる

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アルツハイマー病の最初期病変解明を⽬指す

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多様な研究リソースと⼈材の橋渡しを推進します

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