教育内容

藤田医科大学脳神経内科では、リサーチマインドを持ち、謙虚で信頼される、心優しき臨床医の育成に努めています。研修期間は、日常の臨床で抱いた疑問や分からない事を指導医や上級医にすぐ質問でき、それでも解決しない時には自ら文献にあたり、希望があれば、その解決のための研究へとつなげていく気持 ち (リサーチマインド) を大切にしていただきたいと思います。臨床的な疑問は、研究力のみならず臨床力の向上においても極めて大切です。また、臨床は大変奥が深く、診療する患者さんの多くは人生の先輩であることを心に刻んで、学問に対して謙虚で、周りから信頼される、そして、生物学的な事柄である疾患 (disease) ではなく、人間的事柄である病気 (illness) を診る、病める患者さんとの関係を築くことができる心優しき臨床医の育成を目標にしています。藤田医科大学病院では、頭痛、めまい、脳血管障害など内科専門医に不可欠な神経領域のcommon disease、救急現場で頻繁に遭遇する運動障害、言語障害、意識障害、痙攣、さらには神経変性疾患、神経免疫疾患、神経感染症など、専門医取得に必要な症例を十分に経験できます。これらの疾患の神経症状について、迅速かつ適切な初期対応を実施し、専門医による指導の下、正確な鑑別診断と最善の治療に結びつけていくための、脳神経内科的知識と神経学的診察の手技・考え方を十二分に習得できることが特徴です。国内最多のベッド数を誇り、高度な医療を提供する特定機能病院としての第1教育病院、名古屋市内に位置し、地域密接型のばんたね(第2教育)病院、緩和ケアと回復期リハビリテーションに特化した七栗記念(第3教育)病院、高度医療を提供する岡崎医療センター(第4教育病院)で研修することも可能です。また、症例報告や、多数例の臨床像について、内科地方会、神経学会地方会・学術大会、神経治療学会などで発表していただきます。発表は上級医が複数で指導します。発表内容の論文化も全力でサポートしています。

教育プログラムについて

当院は内科ならびに脳神経内科の教育施設であり、極めて豊富な症例を経験していただけることが特徴です。また、関連する教育病院も独自性を有しており、最先端の診療機器も幅広く揃っています。このような利点を活かし、最短で内科専門医と脳神経内科専門医の取得を目指すプログラムを設定しています。以下、一般的なプログラムを御紹介します。

1年目

  • 病棟での入院診療
  • 医学知識の習得
  • 神経診察の基本や、各種検査
    手技の習得

2〜3年目

  • 後輩の指導
  • 外来、回診
  • 他の内科のローテーション
  • プライマリケア研修

4〜5年目

  • 外来・入院患者の各種検査
  • 臨床研修医の指導
  • 専門医研修カリキュラムの達成
  • 希望者は社会人大学院へ進学
1年目

1年目は主に病棟で、入院診療を経験します。当科は屋根瓦式かつ、グループ制の診療体制をとっていることが特徴で、複数の医師で患者さんを担当します。さらにグループとは別に、曜日毎に指導医を配置しており、グループの上級医や、曜日毎の指導医に適切な指導を受けながら、診療を出来るようになっています。機能解剖、病態生理、主要症候、臨床神経遺伝学に対する知識を身につけていただきながら、神経診察の基本や、各種検査手技を幅広く身につけていただくことができます。グループ制であるため、夜間に1人で診療に困ることはなく、24時間常に脳神経内科専門医レベルのフォローを受け、安心して診療できる体制を構築しています。また、プライマリケア当直研修やJMECC受講も行い、内科医として幅広い視野を持っていただくことにも努めています。

2〜3年目

2~3年目は、脳神経内科医として、1年目を指導しながら救急処置や初期対応にも積極的に携わっていただくようになります。当科は、毎週総回診と全症例カルテ回診を行っており、この場において、担当以外の症例も幅広く学ぶとともに、適切なプレゼンテーションを行うことで、上級医の考え方、症例の診方、要約の仕方などを学んで頂きます。また、脳神経内科の外来も担当していただき、外来で診療する疾患の経験値を段階的に増していただくとともに、医療・介護関係の書類作成、他科との診療連携についても上級医の指導の下、学んでいただきます。さらに、希望に応じて、他の内科のローテーションも可能です。当病院は内科間の連帯がスムースであることも特徴です。プライマリケア研修も希望を十分に伺いながら、最短半年間設けています。J-OSLERの症例登録や病歴要約も、丁寧な指導を心がけており、他科の専門医からレポートの指導を受けられるシステムも構築しています。

4〜5年目

4〜5年目は、外来・入院患者を受け持ちながら各種検査を行うとともに、屋根瓦方式における若手の指導医として臨床研修医の指導も行ないます。また、関連施設との連携を通じて在宅の状況を把握出来るように努め、全人的な診療の中での脳神経内科診療の習得を目指していきます。さらに、神経学会の定める神経内科専門医研修カリキュラムを適切に達成出来るよう、不足する研修内容があれば関連病院、学会ハンズオンセミナー、各種学習会などを通じて習得出来るよう研鑽に励んでいただきます。

尚、希望者は社会人大学院へ進学をすることができますし、大学院に入学しなくても臨床研究や基礎研究を経験できるなど、リサーチマインドも大切にする体制を整備しています。